kyofu

京都観光を中心に気になったことを書きます

羊をめぐる冒険のあらすじ!物語論で解説するための準備①

村上春樹の初期長編作といえば、『羊をめぐる冒険』です。今回はこの『羊をめぐる冒険』を物語論で解説していきたいと思います。

「物語論って何?」

っていう方は、↓を一度ご覧ください。

スターウォーズ フォースの覚醒のネタバレ考察!物語論で読むとⅧ、Ⅸも予想できる?

物語論のシナリオに『羊をめぐる冒険』を当てはめていくわけですが、まずはあらすじをおさらいしておきたいと思います。

スポンサーリンク

最初にざっとしたあらすじを紹介して、次に場面を1つずつページと合わせて紹介します。ページは講談社文庫から出版されている『羊をめぐる冒険』のページを載せています。

また、

「場面ってそもそも何?」

と疑問に感じるかと思います。基本的には場面=場所と考えています。場所が変わったら場面が変わります。

が、

あくまでも原則なので、例外はありますのでご容赦くださいませ!

 

目次

ざっくりとしたあらすじ

妻と別れた主人公・僕は、耳が魅力的な女の子に出会います。女の子は僕が羊をめぐる冒険に出ることを示唆します。

すると、職場から電話がかかってきて、同僚から新しい仕事の依頼を告げられます。仕事を依頼した人物は右翼の大物の秘書で、もしも仕事を断ったらひどいことをすると脅します。

そして依頼された仕事とは、一匹の羊を北海道で探すことです。

一度は断った僕でしたが、耳が魅力的な女の子の説得を受けて、彼女と一緒に冒険に出ることに決めました。

スポンサーリンク

旅先で苦労しながらも、探している羊がいた牧場にたどり着きます。しかし、探していた羊はいません。

羊の写真を送ってきた友人・鼠とも会えず、牧場にある家で無為に時間を過ごしていくうちに、羊男という謎の人物が僕に冒険のヒントをくれたり、彼女が僕のもとから去っていきます。

結局一人になってしまった僕のもとに、鼠がやってきて話をします。右翼の大物の体を抜け出した羊は鼠の体に入り、世界を支配しようとしていた。

だから自分が死ぬことで羊を殺した。

と僕に話しました。

 

・・・・と、だいたいこんなところだろうか。

もちろん、上下巻で400P以上ある内容なので、ざっくりしたあらすじだと省きすぎた感じはありますが^^:

 

以上の内容を、場面ごとにまとめたのが↓です。

あらすじを場面ごとにまとめた

場面1:彼女の死

場所 自宅
水曜日
登場人物

べージ(文庫) P9

 

学生時代の知り合いの女性が死んだことを、友人に電話で知らされる。

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:彼女がミステリアスな存在であること。

メモ:彼女について説明しているようで、説明になっていない描写は、読者が好きなイメージを彼女に持てるようにするため?

 

場面2:葬儀の日

場所 東京
 葬儀の日
登場人物 僕 
べージ(文庫)  P10

僕は彼女の葬儀に参列する。

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:彼女は16歳の時に家を飛び出した。やっぱり彼女はミステリアス。

メモ:ミステリアスな存在であることを強調して、読者のイメージを喚起させている?

 

場面3:喫茶店に座って本を読む彼女

場所 喫茶店
1969年の秋 
登場人物  僕、彼女
べージ(文庫)  P11

彼女はいつも喫茶店の同じ席に座り、本を読んでいた。

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:僕は20歳で、彼女あ17歳

 

場面4:彼女に関する回想

場所 ? 
2の後 
登場人物 僕 
べージ(文庫)  P13

僕が彼女について回想をするが、彼女の名前を思い出すことができない。

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:淡い寂寥感を感じてもらう。

場面5:彼女とのデート

場所  
1969年の秋以降 
登場人物 僕、彼女 
べージ(文庫)  P13

彼女が寝る男の基準を彼女に尋ねるが、イマイチよくわからない返答。

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:

メモ:彼女が述べる理由は、作者にしかわからないような理由なので、読者が勝手に解釈してもよいということ?

場面6:彼女との再会

場所 喫茶店
1979年の秋 
登場人物 僕、彼女 
べージ(文庫)  P14

彼女と出会って1年後。僕の大学の友人は大学を辞めたり行方不明になっている。店内の知っている顔は彼女1人。彼女と初めて寝る。

伏線:僕の周りにいる人間が僕の周りからいなくなるということ

読者に対する伝えるべき情報:

場面7:彼女とのデート

場所 三鷹周辺
70年秋~春 
登場人物 僕、彼女 
べージ(文庫)  P16

僕は彼女のアパートを訪れて、音楽を聴いて、パッとしないsexをする。彼女は僕とのデートを水曜日のピクニックという。

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:

メモ:誰もが知っている固有名詞を入れて、漠然とした実体のない情景描写にリアル感を与えている。

場面8:彼女とのデート

場所 雑木林に挟まれた径
1970年11月25日 
登場人物 僕、彼女 
べージ(文庫)  P19

雑木林に挟まれた径を彼女と歩きながら会話をする。僕は何かに悩んでいて、彼女も僕が何かに悩んでいることは知っている。

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:僕が悩んでいることは伝えるが、一体何に悩んでいるかは具体的には伝えない。

メモ:具体的な悩みを書かないことで、読者が悩みを想像し、主人公に感情移入しやすくする。

場面9:ICUのキャンパス

場所 ICUのキャンパス
場面8の後 
登場人物 僕、彼女 
べージ(文庫)  P21

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:

場面10:自分の死を予告する彼女

場所 彼女のアパート
9の直後 
登場人物 僕、彼女 
べージ(文庫)  P22

僕が目を覚ますと彼女が泣いている。泣き止んだ彼女と意味深な会話をした後、彼女が「二十五まで生きるの、そして死ぬの」と言う。

伏線:彼女が自分の死を予言している。

読者に対する伝えるべき情報:

メモ:彼女の予言は外れた。

場面11:現在

場所 自宅の前のエレベーター
1978年7月 
登場人物 僕 
べージ(文庫)  P27

僕は自宅のエレベーターから自宅のドアの前まで、目をつぶって正確に歩く。自宅のドアを開けると見慣れた赤いパンプスがあることに気付く。

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:僕は毎日決まった日常を送っていること。

場面12:妻との別れ

場所 自宅
 1978年7月
登場人物 僕、元奥さん 
べージ(文庫)  P29

家に着くと彼女(元奥さん)が机にふせて泣いている。泣き止んだ後、彼女と意味深な会話をし、彼女は僕のもとを去る。

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:二人はすでに離婚について話し合った後で、やりとりは素っ気ない感じ。

メモ:元奥さんとの意味深な会話から何かを読み取ろうとするが、抽象的すぎてよくわからない。結局この会話のメタファーについても、読者が勝手にイメージしてもよい類

場面13:妻が出ていった後の空虚な自宅

場所 自宅
12の後 
登場人物 僕 
べージ(文庫)  P38

彼女が出ていったあとの家には何もかもがなくなりかけていた。家の中には、彼女の私物は1つも残っていなかった。

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:彼女が出ていったことで、僕が喪失感を感じていることを、部屋の描写で表現する。

メモ:喪失感とは、欠如を意味して、妻との別れは物語の起動スイッチとして働く。

場面14:僕と彼女の別れの様子

場所 自宅 
離婚の前 
登場人物 僕、彼女 
べージ(文庫)  P41

彼女は別れる理由を、自分自身の問題だと言う。彼女は混乱している様子。僕に対して「別れたくない」というと僕は、「じゃあ別れなければいい」と投げやりに聞こえるような感じで言い返す。

僕と一緒にいてもどこにも行けないと彼女は言う。

伏線:パートナーに対して、一緒にいてもどこにも行けないという発言は後で、鼠の彼女も口にする。

読者に対する伝えるべき情報:僕は一緒にいると、相手をどこにも行けなくさせる人間。つまり成長しない男性?

場面15:新しいガールフレンド

場所 ベッドの上 
1978年9月 
登場人物 僕、新しいガールフレンド 
べージ(文庫)  P50

新しいガールフレンドの髪をいじりながら、昔訪れた水族館に展示されていた「鯨のペニス」のことを思い出す。

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:主人公は成長できない。過去に引きずられている。

メモ:時間や場面が大きく変わるとき、村上春樹はいきなり場面を変化させない。過去の思い出をクッションのように挟むことで、唐突に場面が切り替わった感じを出させない。

場面16:彼女との出会い

場所 自宅 
1978年8月 
登場人物 僕 
べージ(文庫)  P54

依頼された仕事の写真に写っていた耳に魅力を感じる。耳の持ち主に会わせてほしいと耳を撮影したカメラマンに頼む。

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:耳の持ち主の女性のミステリアスな感じ。

メモ:女性に関するはっきりした描写を書かないことで、読者のイメージを膨らませて、読者を作品の中に引き込む。

場面17:彼女との食事

場所  
16の後 
登場人物 僕、彼女 
べージ(文庫)  P56

彼女に電話をして食事に誘う。

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:

場面18:

場所 レストラン 
17の後 
登場人物 僕、彼女 
べージ(文庫)  P57

耳が魅力な彼女とレストランで食事をする。僕が感じた耳の魅力を彼女に説明する。僕の説明に彼女は合点がいったようで、友達になろうと彼女は言う。

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:

メモ:抽象的な説明をすることで読者の想像力を喚起させ、読者が勝手に耳を魅力的だと思う。

とにかく謎なシーン。友達になる人に対して「友達になろう」なんて言わないし、現実離れした馬鹿げたシーンだけど、それを一部の読者に読ませてしまうところに村上春樹のすごさがある。

場面19:

場所 レストラン 
18の続き 
登場人物 僕、彼女 
べージ(文庫)  P64

僕は彼女の耳について色々な質問をする、。彼女曰く、彼女の耳は普段隠されていて、耳を出す時は耳を殺す。意識的に耳を閉鎖させる。

逆に彼女から僕の生い立ちについて質問を受ける、退屈な人生を送っていることを告げるが彼女は、「あなたの退屈さはあなたが考えているほど強固なものではない」と意味深な発現をする。

その後、彼女は耳を解放させ、解放された耳に僕は茫然としてしまうほど魅力を感じる。

伏線:彼女は僕の身にこれから起こる冒険を予言する。

読者に対する伝えるべき情報:閉鎖された耳に魅力を感じるのは、僕が他の人とは違う特別な存在であるから。昔の神話や民話では、主人公はわかりやすい形で他の人と違っていた。例えば主人公が貴族だったり、王子様だったり。しかし、現在の小説ではそういったわかりやすい違いだと読者が共感できない。なので読者に読んでもらうために、外見や生活はいたって普通だけど、どこかで他人にはないものを主人公が持っているという設定を作る。

それによって退屈した日々を過ごしている現代の私たちはすんなりと主人公に共感したり、物語の設定を受け入れられるようになる。特に村上春樹作品のように、一見普通の世界だけど、ところどころで非科学的な出来事が起こる作品ではとても有効なテクニック。

場面20:

場所 自宅 
19の後 
登場人物 僕、彼女 
べージ(文庫)  P73

「まだ耳を出す時期ではなかったのね」と言い、彼女は耳を隠してしまう。

伏線:”まだ”耳を出す時ではなかったと言っているわけだから、今後耳を出すことが予想されるが・・・

読者に対する伝えるべき情報:

場面21:

場所 ?ベッド上 
20の後 
登場人物 僕、彼女 
べージ(文庫)  P74

耳を出してする方がすごいsexをできるのだから、他の男と寝る時も、みみを出せばいいと提案する僕にたいして、彼女は、

「あなたは何もわかってない」

と言う。さらに彼女は僕に対して、

「あなたが自分自身の半分でしか生きていないからよ」

と言う。

伏線:僕が何かを失っている。僕にはわかっていないことがある。

読者に対する伝えるべき情報:彼女が僕を特別扱いしていることを示す。

メモ:何を失っていることが示唆されることは、物語が起動するスイッチ。

場面22:

場所 ベッドの上 
僕、彼女 
登場人物 1978年9月(15に戻る) 
べージ(文庫)  P78

二人でベッドの上で何気ない会話をしていたところ、突然彼女が「もうすぐ大事な電話がかかってくる」

と予言する。電話の内容についても予告する。

伏線:電話の内容はたくさんの羊と一頭の羊の冒険

読者に対する伝えるべき情報:彼女が物語の進行上、主人公を導く”賢者”としての役をする。

場面23:

場所 枕元 
22の後 
登場人物 僕、仕事の相棒 
べージ(文庫)  P80

彼女の予言の直後、枕元で電話が鳴る。電話は仕事の相棒からで、電話の内容は彼女が予言したことと同じこと。

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:僕に対する冒険の召命を読者に予感させる。

場面24:

場所 事務所 
23の後 
登場人物 僕、相棒(彼) 
べージ(文庫)  P85

まず彼と離婚と仕事のことについて話す。彼は僕に「離婚してほしくなかった」と言う。仕事については、「昔の方が楽しかった」と言う。今の方が儲かってはいるが、搾取していると感じている。

僕は彼の言うことに反論する。一通り彼と話したところで、「そろそろ羊の話をしよう」と告げる。

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:過去を引きずる彼は、僕が冒険に出るのを妨害(召命の辞退)しているが、僕はその妨害に対し、「そろそろ羊の話をしよう」ときっぱりはねのける。

場面25:

場所 事務所 
23の前 
登場人物  謎の男、彼、僕
べージ(文庫)  P95

事務所に訪問してきた男について、彼が語り始める。男は彼に対してある要求をする。その要求が遂行されなければ、彼の会社をつぶし、彼や僕が一生広告の世界で働けなくなると示唆し脅す。

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:男の背後には大物がいる。

場面26:召命の辞退

場所 事務所 
25の続き 
登場人物 僕、彼 
べージ(文庫)  P103

彼が僕に男のバックにいる人物(先生)がどれほど大物なのかを伝える。男のバックにいる人物は右翼の大物で、とてつもない権力、金を持っている。

伏線:右翼の大物は北海道で生まれる。

読者に対する伝えるべき情報:

メモ:右翼の大物についてよく知らない僕が、男の要求に従うのを拒否するのは、召命の辞退に当たる。

場面27:

場所 事務所 
26の続き
登場人物 僕 
べージ(文庫)  P109

彼が僕に男の話をした後、しばらく色々なことを考える。なぜこういう事態になったか考え直すも、結局答えは出ない。相棒との話で話題になった羊の写真を見ても手がかりはつかめない。

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:

場面28:

場所 車の中 
27の後 
登場人物 僕、運転手 
べージ(文庫)  P115

事務所にやってきた迎えの車に乗って、先生(右翼の大物)の家に行く。

伏線:車の中のシガレットケースに羊の紋章が入っている。

読者に対する伝えるべき情報:先生の家に行くことが冒険の1つであること。

メモ:運転手は僕を非日常世界である”先生の家”に連れていくので、物語上では”助手”の役割をする。

場面29:最初の境界の越境

場所 先生の家の前 
28の後 
登場人物 僕、運転手 
べージ(文庫)  P121

先生の家に到着した僕は家の周りの庭の広さに圧倒される。

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:先生の家の周りの庭が日常と非日常を分ける境界線

場面30:僕の”影”が登場

場所 自宅 
1977年12月21日、

場面11の前 

登場人物  僕、鼠
べージ(文庫)  P129

長いこと連絡がなかった鼠という友人から手紙が届く。具体的なことは何一つ書かれていないが、かなり長い手紙である。鼠は何かしらの欠陥を抱えていることや、街を出て放浪していた時の様子を伝える。

伏線:手紙の消印は青森県。鼠は僕と同様、何か欠陥を抱えている。

読者に対する伝えるべき情報:鼠は僕のことを特別な存在だと思っている。(主人公としての証?)

メモ:鼠についても具体的な説明はないが、何かしらの欠乏を抱えている。僕についての説明と同様、具体的な説明がないので、きっと読者が好きに鼠が抱えている欠乏感を想像してもいいのだろう。読者が好きにイメージできるとなると、当然僕と同じ欠乏を鼠も抱えていると設定する。

鼠は僕にとっての”影”ではないかと推測できる。

場面31:

場所 自宅 
1978年5月

場面30の後

登場人物  僕、鼠
べージ(文庫)  P137

鼠から2番目の手紙が届く。静かな場所に引っ越したらしい。さらに僕に対して2つ頼み事をする。

  1. Jとある女の子に分かれてつげてほしい
  2. 羊の写真を人目のつくところに出てほしい

伏線:鼠は北海道に?

読者に対する伝えるべき情報:

場面32:

場所 故郷に戻る道 
1978年6月 
登場人物 僕 
べージ(文庫)  P146

鼠から手紙をもらった僕は故郷に戻る。

伏線:20代の10年間で得たものは退屈さだけと

読者に対する伝えるべき情報:

場面33:

場所  ジェイズバー
32の後 
登場人物 僕、ジェイ 
べージ(文庫) P149 

ジェイと再開して話す。

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:

場面34:17歳の時の回想

場所 ジェイズバー 
3の前 
登場人物 僕が17歳の頃 
べージ(文庫)  P150

ジェイの生い立ちや僕とジェイとの出会いについて。

伏線:僕が18歳になって町を出た後、鼠がバーの常連になる。

読者に対する伝えるべき情報:いろいろと説明をするが、僕とジェイ、鼠の詳しい関係については、読者にわからないようにする。あくまでも読者の想像力を喚起させる。

場面35:

場所 ジェイズバー 
33の後 
登場人物 僕、ジェイ 
べージ(文庫) P152

僕が久しぶりにジェイズバーを訪れてジェイと昔話やちょっとした身の上話をする。

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:僕は子供を産むことに躊躇する。つまり人生に意味を見いだせてない。

場面36:物語の起動スイッチ(故郷の喪失感)

場所 ジェイズバーからの帰り道 
35の後 
登場人物 僕 
べージ(文庫)  P157

ジェイズバーを出た後、昔よく歩いていた川や今は埋め立て地になった海沿いを歩く。埋め立てられた海といった自然だけでなく、自分自身のタフネスさもなくなった感覚を抱く。

伏線:主人公が故郷を喪失した感情を描く

読者に対する伝えるべき情報:別れた妻だけでなく、若い頃から長い間かけて失われてきた故郷に対する喪失感を描く。当然喪失感は物語の中では埋められないといけないものである。主人公はこの喪失感を直接的もしくは象徴的に埋めるために冒険へ出ることが予想される。

その後、主人公が羊をめぐる冒険という、突拍子もない冒険に出ることに対して、読者が違和感を覚えないようにする。

場面37:どこにも行けない

場所 ホテル 
36の後 
登場人物 僕、鼠が別れを告げるよう頼んだ女 
べージ(文庫)  

鼠が別れるを告げるよう頼んだ女性に電話をかけて、会う約束をする。女性が27の時に鼠が街を出た。

女は、

「5年前から何も変わってないと思いたくない。そう思うとどこにも行けない。」

伏線:「どこにも行けない」は別れた妻が僕に行った言葉でもあるので、僕と鼠には何か関係性がある?物語論でいうところの、鼠は僕にとっての影。

読者に対する伝えるべき情報:僕はどこにも行けない男。成長しようとする女性と成長しない僕の対比。

場面38:

場所 ホテルのラウンジ 
37の翌日
登場人物 僕、鼠の元彼女 
べージ(文庫) P168 

鼠が別れを告げてほしいと頼んだ女性とホテルのラウンジで会う。鼠の元カノは、鼠について、

「私の非現実性を打ち破るためにはあの人が必須だった気がした」

と言う。

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:鼠と鼠の元カノの関係は、僕と僕の元妻の関係と似ている。

メモ:元カノの言っていることも、鼠との関係を説明しているようで、抽象的な話だけで具体的なことは何も言っていない。ここでも読者の具体的な体験などを挿入して、読者を小説からはなれないようにしている。

場面39:

場所 先生の家 
 29の後
登場人物 僕、先生の秘書 
べージ(文庫) P181 

先生の家で秘書と話す。秘書は僕に取引の話を始める。

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:

メモ:意味深な話やもったいぶった言い方で、抽象的で空疎な内容にリアル感を与えている。

秘書は僕を冒険に旅立たせる存在なので、物語論上では”賢者”の役割をする。スターウォーズで言うところのヨーダやオビワン。

場面40:

場所 先生の家 
39の続き 
登場人物 僕、秘書 
べージ(文庫) P187 

秘書が僕に広告の中に映っている羊を探し出すように命じる。

伏線:先生の頭の中に羊が住んでいて、その羊と写真の中の羊は同じ羊。

読者に対する伝えるべき情報:鼠についての情報を秘書に黙っておくことで、僕が冒険に出ることになる。

場面41:

場所 車の中 
40の後 
登場人物 僕、運転手 
べージ(文庫) P214 

秘書と話を終えた僕は、行きと同じ運転手の車に乗って、先生の家を出る。運転手から神様の電話番号を教えてもらう。

伏線:神様の電話番号は結局その後出てこない。

読者に対する伝えるべき情報:非日常(先生の家)から日常に戻らないで、日常と非日常の中間的な車の中に入る。そのすることで、非日常の実体のない空疎な感じを読者に感じ取られないようにする。

場面42:

場所 高級ホテルのバー 
41の後 
登場人物 僕、秘書 
べージ(文庫)  P220

戻ってきた僕はホテルのバーで酒を飲む。元妻に電話をするも不在。酒を飲んでいると秘書から電話があり、1か月以内に羊を探すようにと言われる。

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:妻に電話をすることで、読者に対して妻を喪失したことを再認識させる。

メモ:先生の家(非日常)から戻ってきた僕は、これまでと変わらないようにバーでビールを飲む。しかしその日常は以前の日常とは違う。その違いをはっきりさせるための秘書から電話。

場面43:

場所 自宅 
42の後 
登場人物 僕、耳が魅力の彼女 
べージ(文庫)  P225

北海道には行かないと決めていた僕だったが、彼女の説得に負けて羊を探しに行くことに決める。

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:主人公は往々にして自分からは行動しないもの。冒険への召命があっても、何度か召喚を辞退する。僕が北海道に行かないと決めることも、召喚を辞退に当たる。

スターウォーズエピソードⅦでは、レイが自分の星にとどまると決め、ハンソロから渡されるライトサーベルを拒否するシーン。

場面44:冒険へ旅立つことを決心する。

場所 自宅 
42の後 
登場人物 僕、秘書 
べージ(文庫) P234 

羊を探しに行くと決心した翌日、秘書に電話をかける。秘書と世間話をする。さらに秘書に、僕には失うものはないこと告げる。

伏線:僕には失うものがないということは、すでにたくさんのものを失って、喪失感にあふれているということ。冒険を通じて直接的もしくは象徴的に、何かを回復できるかもしれない。

読者に対する伝えるべき情報:羊を探しに行くことを決心して気分が良くなる。

場面45:なぜ僕が冒険に出るのか?

場所 自宅 
44の後 
登場人物 僕、彼女 
べージ(文庫) P241 

出かけていた彼女は旅行の準備を終えて戻ってきた、旅への不安を抱える僕と、早く出発しようとする彼女。

伏線:「僕が僕だというのも、どうもしっくり来ない・・・と十年間ずっとそうだった」と言っていることから、僕は”私が私である”という近代の個性を引き受ける時代に適応できていない。

読者に対する伝えるべき情報:羊を探せばいろんなことが上手くいく。

メモ:私が私であるというアイデンティティを獲得する物語として羊をめぐる冒険はあるのかも・・・

場面46:

場所 自宅 
45の後
登場人物 僕、秘書、相棒  
べージ(文庫)  

冒険の出る前の準備をする。

僕は秘書に電話をして飼い猫を預かってもらうように頼んだり、相棒に電話をして会社を辞めることを告げる。

伏線:相棒は以前と同様に、僕に泣き言を言って僕を引き留めようとするが、僕の意思は固い。

読者に対する伝えるべき情報:相棒に泣き言を言われても僕は冒険をやめようとしない。僕の冒険への意思が固いことを示す。

場面47:

場所 自宅の前 
47の後 
登場人物 僕、彼女、運転手 
べージ(文庫) P225 

46の翌日、家の前まで迎えに来た運転手に猫を預ける。猫の名前をいわしに決める。

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:

場面48:

場所 車の中 
47の後 
登場人物 僕、彼女、運転手 
べージ(文庫) P260 

車の中で、運転手と形而上学的な話をする。テーマは名前について。

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:

場面49:

場所 空港のレストラン 
48の後 
登場人物 僕、彼女 
べージ(文庫) P255 

空港で彼女と食事をする。時間関するテーマで抽象的なおしゃべりをした後、東京を発ち、札幌について映画を2本鑑賞する。

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:1か月後に羊を見つけないといけないにも関わらず、緊張感のない冒険をしている。

場面50

場所 飛行機の上
49の後
登場人物 僕、彼女
べージ(文庫) 9P

 

プロット50 

東京から千歳空港に向かう飛行機の上で彼女と会話をする。会話の内容は猫の名前について。

 

場面51

場所 千歳空港
50の後
登場人物 僕、彼女
べージ(文庫) 10P

プロット50:

千歳空港で荷物を受け取る。彼女と飛行機の上での会話の続きをする。

 

場面52:

場所 札幌の喫茶店
51の後
登場人物 僕、彼女
べージ(文庫) 11P

プロット52:

 

羊を探す計画を立てるも、彼女が「映画が観たいな」と言い、映画館に入る。

 

場面53:

場所 映画館
52の後
登場人物 僕、彼女
べージ(文庫) P12

プロット53:

映画館で映画を見る。僕は映画に退屈するが、彼女は真剣に見る。自分が札幌に来ている感覚がしない。彼女も「なんだか今頃になって体が移動しているような気がしない」という。彼女は僕の肩に頬を寄せる。

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:

 

場面54:

 

場所 街中
53の後、夕暮れ
登場人物 僕、彼女
べージ(文庫) P15

プロッ54:

映画館を出て、夕暮れの街を彼女と散歩する。彼女が、

「何かがずれているような気がする」という。

僕は、初めての街だからなだ体がなじまないんだという。

伏線:何かがずれているという何かとは何?

読者に対する伝えるべき情報:札幌についてまだ体がなじんでいない感覚がする。

 

場面55:

場所 レストラン
54の後
登場人物 僕、彼女

べージ(文庫) P15

プロット55:

レストランで彼女と食事をしながら泊まるホテルを決める。彼女はドルフィン・ホテルという名前のホテルが気に入り、そこに泊まることになる。

伏線:彼女がいるかホテルを選んだ理由はあるのか。

読者に対する伝えるべき情報:

 

場面56:

場所 ホテルのフロント
55の後
登場人物 僕、彼女、フロントの男
べージ(文庫) P17

プロット:56

イルカホテルのフロントに到着する。いるかホテルは古びた感じのホテルで僕は良い印象を持っていなかったが、彼女はひと目でいるかホテルを気に入った様子。

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:

場面57:

場所 ホテルの部屋
56の後
登場人物 僕、彼女
べージ(文庫) P22~

プロット57:

部屋の中は掃除は行き届ていない様子。「もっとましなホテルに泊まってもいいんだぜ」という僕に対して、彼女は、

「お金の問題じゃないのよ。我々の羊探しはここから始まるの。とにかくここじゃなくちゃいけないのよ」

と答える。

伏線:我々?

読者に対する伝えるべき情報:彼女はいるかホテルに固執する様子。

場面58:

 

場所 喫茶店
57の後、翌朝
登場人物 僕、彼女

べージ(文庫) P25

プロット58:

翌朝、僕と彼女はホテル付近の喫茶店で食事をとる。羊探しの計画を真剣に説明する僕に対して、彼女は、

「あまり心配しちゃ駄目よ」「きっと簡単にみつかるから」

と軽い感じ。

伏線:彼女の楽観的の見通しの根拠はどこ?

読者に対する伝えるべき情報:

 

場面59

場所 小料理屋
58の後
登場人物 僕、彼女
べージ(文庫) P26

プロット59:

羊探しをした成果を、いるかホテルの裏にある小料理屋で報告しあう。僕も彼女も羊に関する手がかりを得ることはできなかった。

何も手がかりを掴めなかったことに落胆する僕に対して、彼女は楽観的な口調で話す。彼女は、僕といることで充ちたりている。

耳からメッセージも切羽詰まった時にしか来ないので、みちたりている今は何もメッセージを受け取ることはない。

 

伏線:羊を探す冒険に関する情報はどのようにキャッチしたんだろう・・・

読者に対する伝えるべき情報:

場面60:

場所 ホテルの部屋
59の後
登場人物 僕、彼女
べージ(文庫) P30

プロット60:

59の後、3,4日、羊に関する手がかりを集めに街を出歩くも手がかりを得ることが出来なかった。僕は確実に摩耗していった。

そんな僕に対して、彼女は、

「新聞に公告を出してみれば?」「あなたのお友達に連絡してほしいって」

と提案する。僕はその提案に乗って、鼠に連絡を求める広告を出す。

広告を出してみて、僕のところに連絡がきたが、どれも違う人で鼠から連絡が来ることはなかった。

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:試練の1つ?彼女(賢者)から出される試練?

場面61:

場所 いるかホテル
60の後
登場人物 僕、彼女、フロント係
べージ(文庫) P36

プロット61:

羊に関する手がかりがなく、途方に暮れているところフロント係に話しかけられる。フロント係はいるかホテルの名前の由来を僕に教えてくれる。フロント係の男性が好きな『白鯨』という小説の中にいるかが出てくるから。

後でまたワインを僕の部屋に持ってきてくれたときに、いるかホテルが建てられる前は、北海道緬羊会館という建物だったことを伝える。

 

伏線:羊に関する建物があったこと。

読者に対する伝えるべき情報:ホテルは鯨の母胎のイメージが登場している。

場面62

 

場所 いるかホテル
61の続き
登場人物 僕、彼女、フロント係
べージ(文庫) P40

プロット62:

フロント係の話から羊に関する手がかりを得る。僕が持っていた羊の写真と同じ写真を、いるかホテルも持っていることを伝えられる。

さらにフロント係の父親は羊博士と呼ばれるくらい羊に詳しいから、父親に写真のことを聞くといいと勧められる。

ただ、羊博士は部屋からホテルの2階にこもっているらしい・・・・

 

伏線:

読者に対する伝えるべき情報:羊博士が偏屈そうな男であること。羊を探すための試練の1つ?

場面63

場所 いるかホテル
63の後
登場人物 僕、フロント係(息子)
べージ(文庫) P43

プロット63:

フロント係(息子)から羊博士の生い立ちやプロフィールを教えてもらう。息子の話によると、羊博士は幼い頃から神童と呼ばれ、帝国大学を卒業して官僚になった。1935年、緬羊増産計画のため満州に視察に行った時に、羊と神秘的な体験をする。その体験を羊博士は交霊と呼び、交霊により羊博士の中に羊がはいったという。

羊博士の中に入った羊はその2年後に体の中から出ていった。

伏線:

読者に伝えるべき情報:

 

場面64:

 

場所 いるかホテル
63の続き
登場人物 僕、彼女、フロント係
べージ(文庫) P50

プロット64:

羊博士に会いたいとフロント係に伝える。フロント係は僕に羊博士に会う方法を教える。

伏線:羊博士とフロント係の親子関係が良くないのは、その後物語が進むことで改善されるのか?

読者に伝えるべき情報:フロント係は羊博士に会うための方法を教えている。

 

場面65

場所 羊博士の部屋のドアの前
64の後
登場人物 僕、彼女
べージ(文庫) P52

プロット65:

羊博士のいる部屋のドアの前で、羊博士に会いたいと伝える。羊博士は最初、会おうとしなかったが、僕が例の羊の話をすると、ドアを開けた

伏線:羊博士と会って話すという試練の第一段階がクリア?

読者に伝えるべき情報:最初会おうとしなかった羊博士に対して、フロント係の助言通りに羊について質問したいことがあると伝えたら、ドアが開いた。

 

場面66:

場所 羊博士の部屋
65の続き
登場人物 僕、彼女、羊博士 
べージ(文庫) P52

プロット66:

羊博士が羊が入って出ていくまでの話を教えてくれる。

最初羊博士は、僕のことを半信半疑だったが、僕がポケットから銀製のライターと鼠の送ってきた写真を見せると信じて話し始めた。

羊が出ていくことを『羊抜け』と言い、思念だけ羊博士の体内に残し、その思念は放出できず、地獄のような状態。

伏線:羊には人間と人間の世界を一変させてしまうような巨大な計画がある

読者に伝えるべき情報:ライターや写真は僕が信頼に足る人物かを証明するアイテムだろう。

 

場面67:

場所  羊博士の部屋
 66の続き
登場人物 僕、羊博士、彼女 
べージ(文庫) P60

プロット67:

引き続き、羊に関する情報を羊博士から教えてもらう。僕が羊博士の体からぬけた羊は右翼青年の体に入り、また抜けてしまったことを伝えると、羊博士は、

利用価値がなくなった人の体から出ていく

と言う。さらに、

羊には目的があるが、言葉にできず、羊の求めているものは羊的思念の具現だという。

羊にとっては善だが人間にとってはわからない。

羊博士は例の写真に映っている牧場の場所も教えてくれた。今年の2月に鼠も牧場の場所を尋ねに羊博士のところへ来たことも僕に伝える。

伏線:多い。(羊の目的とは?)

読者に伝えるべき情報:

場面68:フロント係との別れ

場所 いるかホテル 
 67の後
登場人物 僕、彼女、フロント係 
べージ(文庫) P65

プロット68:

僕と彼女は、羊博士が教えてくれた牧場に向かうため、ホテルを後にする。フロント係と別れの言葉を交わす。

僕はフロント係に、「もうお父さんの羊探しもー段落したはずですよ」と伝えると、

「それならもう何も言うことはありません。我々はこれから二人で幸福に暮らせるはずです。」

と答える。

伏線:

読者に伝えるべき情報:羊博士と息子(フロント係)の親子関係が回復したことが暗示される。欠如の回復という物語の法則がストーリーの流れの中に組み込まれている?

 

場面69:出発前

場所 ホテルの部屋 
 68の後
登場人物 僕、彼女 
べージ(文庫) P68

プロット69:

羊博士と息子はきっと幸せになれると、僕は彼女に伝える。

伏線:

読者に伝えるべき情報:欠如の回復の暗示を念押ししている?

 

場面70:札幌から旭川に向かう列車

場所  列車の中
69の後 
登場人物 僕 
べージ(文庫) P71

プロット70:

牧場へ向かう列車の中で、牧場がある十二滝町に関する本を読む。

伏線:

読者に伝えるべき情報:

 

場面71:旭川からの列車内

場所 列車の中 
70の続き 
登場人物  僕、彼女
べージ(文庫) P84

プロット71:

旭川から列車を乗り継いで、塩狩峠を超える。

伏線:

読者に伝えるべき情報:

場面72:

場所  駅
 71の続き
登場人物  僕、彼女
べージ(文庫) 85P

プロット72:

列車を下りた街は札幌よりも寒く、典型的な小規模の地方都市。

伏線:

読者に伝えるべき情報:

場面73:

場所 駅の待合室
72の続き 
登場人物 僕 
べージ(文庫) P88

プロット73:

駅の待合室で次の列車が来るのを待つ。

伏線:

読者に伝えるべき情報:

場面74:十二滝町にいく列車の中

場所 車内
73の後 
登場人物 僕、彼女 
べージ(文庫) P89

プロット74:

十二滝町に行く列車に僕と彼女は乗る。列車は廃車寸前という感じで、車内は便所と油の匂いが入りまじった宿命的な空気に支配され、乗客は無関心と倦怠で結び付けられていた。

伏線:

読者に伝えるべき情報:さらにいっそう車内の様子がさむざむとした感じ。出立~イニシエーションの中間を表している?鯨の胎内や象徴的な死?

場面75:旅館を探す

場所  十二滝町の駅前
74の続き 
登場人物 僕、彼女 
べージ(文庫) P92

プロット75:

今晩泊まる宿を探す。十二滝町の駅前はかなりさびれていて、人口も少なく、駅も赤字路線でいつなくなるかわからないらしい。

伏線:

読者に伝えるべき情報:十二滝町の駅はさびれている。

場面76:旅館

場所  旅館
75の後 
登場人物 僕、彼女 
べージ(文庫) P95

プロット76:

旅館に到着する。

伏線:

読者に伝えるべき情報:

場面77:町役場

場所 町役場 
76の後 
登場人物 僕、町役場の人 
べージ(文庫) 95P

プロット77:

羊に関して聞くために僕は町役場へ行く。牧場は現在街に貸与されていて、夏に緬羊牧場の人が羊を連れて山に上がるという話を聞く。

その緬羊牧場の人に会わせてもらう。

伏線:

読者に伝えるべき情報:

場面77:緬羊牧場

場所  緬羊牧場
76のつづき 
登場人物  僕、緬羊牧場の管理人
べージ(文庫) P99

プロット77:

管理人に会って話を聞く。管理人の話によると、管理人は牧場の持ち主から雇われていて、しかもその持ち主は鼠らしい。

鼠は少なくとも5年以上前から牧場を所有していて、今年の3月に十二滝町に来た。

伏線:鼠と牧場、羊博士のつながりは?

読者に伝えるべき情報:

場面78:

場所 緬羊牧場
77の続き
登場人物 僕、管理人 
べージ(文庫) P106

プロット78:

翌日、管理人に牧場まで車で連れていってもらうことに。

伏線:

読者に伝えるべき情報:

場面79:旅館へ戻る

場所  旅館
78の後 
登場人物 僕、彼女 
べージ(文庫) P107

プロット79:

緬羊牧場から旅館までの帰り道、鼠の父親が北海道に別荘を持っていることを思い出す。

伏線:鼠の父親とは?

読者に伝えるべき情報:

場面80:夢

場所  旅館の部屋
 79の後
登場人物 僕 
べージ(文庫) P108

プロット80:

布団に入って眠りに落ちる前に妄想が頭の中を支配する。

伏線:

読者に伝えるべき情報:なんとなく意味がありげな描写を入れておく。

場面81:翌朝

場所  旅館
80の翌朝 
登場人物 僕 
べージ(文庫) 110P

翌朝、6時に目を覚ました僕は川を眺める。

伏線:僕が見た風景の描写は何を表しているのかよくわからない

読者に伝えるべき情報:

場面82:牧場につながらない

場所 旅館 
81の後 
登場人物 僕、彼女、管理人 
べージ(文庫) 111P

管理人が僕と彼女を迎えにやってくる。管理人から牧場と電話が通じないという話を聞く。その後、羊に関して彼女は管理人に質問する。

伏線:彼女と管理人のやりとりには意味がない

読者に伝えるべき情報:

場面83:牧場への道

場所  牧場へ道
 82の後
登場人物 僕、彼女、管理人 
べージ(文庫) P116

管理人のジープで僕と彼女は牧場を目指す。道は険しく、途中で不気味な谷にも遭遇する。

伏線:

読者に伝えるべき情報:険しい道や途中の不気味な風景は、日常と非日常を隔てる役割がある。旅館と牧場の境界として、牧場までの道があることを明示している。

場面84:牧場までの道

場所  牧場までの道
83の後 
登場人物 僕、彼女 
べージ(文庫) 121P

地面が湿っていてジープが通れないので、僕と彼女はジープから降りて徒歩で牧場まで向かうことにする。管理人が僕を下した場所は、まったくよそよそしくどこか異教徒的だった。

伏線:途中で割と新しめのタバコの吸い殻を見つける。鼠の?

読者に伝えるべき情報:牧場にたどり着くまでの試練の道の1つと考えてよい。

場面85:牧場に到着

場所  牧場
84の後 
登場人物 僕、彼女 
べージ(文庫) P125

牧場に到着する。鼠が送ってきた写真と同じ風景を目の当たりにするが、どことなく人工的な風景に感じる。

伏線:

読者に伝えるべき情報:僕がまだ写真に移っている場所に来たことを実感できていない様子。

場面86:家の中に入る

場所  家の中
85の後 
登場人物 僕、彼女 
べージ(文庫) P129

建物の中に入って捜索するも、鼠の姿は見当たらない。

伏線:

読者に伝えるべき情報:

場面87:家の中

場所  家の中
86の後 
登場人物 僕、彼女 
べージ(文庫) 133P

鼠の姿は結局見当たらなかったが、鼠が帰ってくるの待つことにする。依然として彼女の耳は何も情報をキャッチしない。

疲れた僕は眠ってしまい、その間に彼女は食事を用意してくれる。なんて男に都合のいい女なんだろうか笑

伏線:彼女の耳が情報をキャッチしないということは、僕と彼女が危険な状態にないということ?

読者に伝えるべき情報:

場面88:彼女が消える

場所  家の中
87の後 
登場人物 僕、 
べージ(文庫) 138P

目が覚めると彼女が消えている。

伏線:なぜ彼女が消えていることを本能的に目覚めた瞬間に察知したのだろうか。この世界にもう一人の僕が存在するとはだれのこと?鼠のこと?

読者に伝えるべき情報:

場面89:ベッドをセット

場所  家の中
88の後 
登場人物 僕 
べージ(文庫) 141P

ベッドメイキングをセットした後に本を読む。

伏線:シャーロックホームズには意味がなく、実体のない空虚な感じを読者に悟られないため。

読者に伝えるべき情報:

場面90:散歩

場所 家の周り 
89の後 
登場人物  僕
べージ(文庫) 142P

手持無沙汰になり家の周りを散歩する。

伏線:

読者に伝えるべき情報:

場面91:羊男来る

場所  家の中
90の後 
登場人物 僕、羊男 
べージ(文庫) 146P

羊男が家にやってきて、彼と話す。彼曰く、彼女が出ていったのは、僕が自分のことしか考えていなかったかららしい。

羊男は鼠については何も知らないらしい。

伏線:また来ると羊男はは僕に伝える。なんでこのタイミングで羊男が突然現れたのだろうか。羊男とはだれ?もしかしたら羊男との遭遇が、この物語のクライマックスなのかもしれない。もしくはクライマックス直前の中ボス的な存在。

読者に伝えるべき情報:

場面92:羊男が帰ったあと・・・

場所  家
91の後 
登場人物 僕 
べージ(文庫) 158P

羊男が帰ったあと、僕は一人で羊男に言われたことを考える。考えるにつれて、ガール・フレンド(彼女)を永遠に失ってしまったのかもしれないという思いにかられる。

伏線:僕は一人で牧場にくるべきだったというのはどういうこと?自分のことしか考えていないから彼女と一緒に来たのか?僕が彼女を混乱させたとは?

読者に伝えるべき情報:

場面93:3日後

場所 家 
92の3日後 
登場人物  僕、
べージ(文庫) 149P

羊男が来て3日を無為に過ごす。料理を作ったり本を読んだり酒を飲んだりしながら過ごした。羊男も鼠も現れなかった。

伏線:

読者に伝えるべき情報:僕が一人ぼっちになってしまったことを読者に示す。

場面94:僕が出した新聞広告を見つける

場所 家 
93の後 
登場人物 僕 
べージ(文庫) 163P

鼠の本に、僕が出した新聞広告が挟まっていることに気付く。僕が出した新聞広告とは、鼠を探すための広告。

僕は、「鼠は何らかの理由で僕と顔を合わせたくなかったのだ。しかし、彼は僕を拒否してはいない」

と考える。

そして羊男が鼠について何か知っているだろうと確信する。

伏線:

読者に伝えるべき情報:

場面95:羊男に再び出会う

場所  家の近くの林
 94の後
登場人物 僕、男 
べージ(文庫) 166P

羊男が鼠について何か知っていると思い、羊男に会いに行く。林の中を歩いて羊男に出会って話を聞く。

羊男は自分のことについては話してくれたが、鼠についは何もしゃべれないとかたくなに話すことを拒み、僕も受け入れる。

伏線:羊男の「あんたが自分でみつけだしたのかと思ったんだよ。」というのは、僕が一人で行動できるようになるための試練だったのかもしれない。そうすると羊男は賢者の役割をしているのかもしれない。

読者に伝えるべき情報:

場面96:パンを焼く

場所 家 
95の後 
登場人物  僕
べージ(文庫) 173P

その日の午後、僕はパンを焼いた。

伏線:

読者に伝えるべき情報:パンを焼く描写は伏線でもなんでもないただの描写。しいていうなら実体のなさを読者に気付かせないようにするための描写。こういった描写を楽しめない人は村上春樹を楽しめないだろう。

場面97:自分が利用されていたことに気付く

場所  家
96の後 
登場人物 僕 
べージ(文庫) 174P

本棚のある本を眺めていると、「羊つき」の先生が、十二滝町の出身であることを知る。そこで僕は黒伏の秘書に利用されていたことに気付く。

枯れたに対して腹を立てる。

彼らが利用し、しぼりあげ、叩きのめしたものは、僕に残された最後の、本当に最後のひとしすくだったのだ。

僕の最後のプライドや自尊心、大切にしたいもので、明確に言わないことで読者に好きに想像してもらう。

伏線:

読者に伝えるべき情報:

場面98:すべてを失った自分

場所
97の翌朝
登場人物 僕 
べージ(文庫) 177P

僕はすべて忘れようと決心する。

失うものは既に失われてしまったのだ。

伏線:

読者に伝えるべき情報:

場面99:部屋の掃除をする

場所 家 
98の後 
登場人物 僕 
べージ(文庫) 178P

家中の掃除をする。

伏線:

読者に伝えるべき情報:

場面100:羊男が来る。

場所  家
99の後 
登場人物 僕、羊男 
べージ(文庫) 181P

羊男がやってきて、僕の伝言を鼠に伝えられなかったと告げる。僕にとってそのことは今となってはどうでもいいことである。

自分が腹を立てていることを口にする。

伏線:僕は鼠がその日の午後10時に来ることを予言する。

読者に伝えるべき情報:物語に新たな方向へ展開したこと

場面101:鼠登場

場所 家のソファー 
 100の後
登場人物 僕、鼠 
べージ(文庫) 187P

とても嫌な夢を見た僕は夜の8時に起きてソファーに座る。暗闇の中でソファーに座っていると、突然鼠に話しかけられる。

「話してもいいかな」と鼠が言った。

「いいとも」と僕は言った。

伏線:

読者に伝えるべき情報:

 

場面102:鼠と話す。

場所  家
101の後 
登場人物 僕、鼠 
べージ(文庫) 190P

鼠と話す。鼠はこれまでの経緯を僕に話す。鼠にとって牧場は思い出の土地で、僕にとっての故郷の海のようなもの。

父親の世話になりたくないからしばらく牧場に来ていなかったが、いるかホテルのロビーの写真をみて来たくなったという。牧場に来ると、僕が探している羊に会い、羊に合ったあとのことは話すのがとても辛いらしい。

鼠はすでに死んでいる。

「君はもう死んでいるんだろう?」

伏線:羊と会った後の話をするのが辛いというのは、鼠は羊ぬけをすでに経験しているのだろうか? 闇の中で話すというのは、鼠は僕にとっての影のような存在だから? この場面は僕にとっての冒険の最後の局面であり、日常から一番離れた場所だから、その演出のために暗くしているだけ? 鼠は実在する人物であるが、僕と反対方向に自己実現した存在かもしれない。

読者に伝えるべき情報:

 

場所  家
102の続き 
登場人物  僕、鼠
べージ(文庫) 197P

鼠は僕になぜ死んだかを説明する。鼠は羊を取り込み、体の中にいる羊が眠っている時を狙って自殺したらしい。

「もし偶然が君をこの土地に導いてくれるとしたら、俺は最後に救われるだろうってね」

伏線:鼠が救われるとは何を意味しているのだろうか。普通主人公は自分の影と対峙して巣くわれるが、影の方も本体と出会い救われる。(ダースベーダーがルークと出会い救われるのと同じ)

読者に伝えるべき情報:

場面103:鼠が弱さについて僕に語る。

場所 家 
102の後 
登場人物  僕、鼠
べージ(文庫) 200P

鼠が僕に街を出た理由を語る。鼠は自分の弱さによって自分が堕ちていく姿を人に見せるのが嫌で街を出た。

羊は、鼠のすべて(体、記憶、弱さ、矛盾)が大好きで、それを鼠に求めた。先生が死んだ後、鼠を利用して権力機構を引き継ごうとした。羊が作ろうとした世界はあらゆる対立が一体化する世界らしい。

たえまなく暗闇にひきずりこまれていく弱さというものを君は知らないんだ。

伏線:すべてという抽象的な表現で、読者に想像させている。先生と鼠は正反対の人間のように見えるがどういうことなんだろうか。鼠は虚無主義の代表のような存在なのだろうか?

読者に伝えるべき情報:鼠が街を出た理由は、自分が弱くなっていく姿を人に見せたくなかったから。

疑問:羊を殺した鼠は世界にとって英雄のような存在なんじゃないだろうか

 

場面104:鼠が去った後。

場所  家
103の後 
登場人物  僕
べージ(文庫) 209P

鼠が去ったあと、色々な人たちとの会話がフラッシュバックする。

伏線:羊男、ガールフレンド、運転手、妻との会話がフラッシュバックするのはなぜ?

読者に伝えるべき情報:

 

場面105:翌朝

場所  家
104の翌朝 
登場人物 僕 
べージ(文庫) 211P

翌朝、牧場から帰る準備をする。

新しい朝の光の下で、草原は銀色に輝いていた。冷気が肌に心地良かった。

伏線:

読者に伝えるべき情報:

 

場面106:牧場から帰る(帰還)

場所 牧場からの帰り道
105の後 
登場人物 僕 
べージ(文庫) 213P

牧場から降りる。嫌なカーブを歩いていると、奈落の底に引きずり込まれてしまうような嫌な気分がする。

伏線:

読者に伝えるべき情報:嫌なカーブで感じる嫌な感じは帰り道も同じ。

メモ:主人公が帰還をする時には、帰還を妨害するシーン(帰還の拒絶)が物語では描かれる。おそらく、嫌なカーブで感じる嫌な感じが帰還の拒絶に相当するのでは。

 

場面107:秘書との再会

場所 牧場からの帰り道
106の後 
登場人物 僕、秘書 
べージ(文庫) 215P

秘書と再開して、すべてが秘書による計画だったことを聞く。

鼠を精神的な穴倉から出してほしかったから、僕に冒険をさせたという。鼠の場所を尋ねられた僕は、

12時ちょうどに鼠が家でお茶会をすると秘書に伝える。

伏線:

読者に伝えるべき情報:先生の後を継がせる鼠を探しに秘書はやってきた。

場面108:

場所 車の中
107の後 
登場人物 僕、運転手 
べージ(文庫) 218P

運転手と再開して、いわしと神様の電話の話をする。

「いわしは元気ですよ」

神様の電話は通じなくなったらしい。

「先生が亡くなって以来、通じなくなっちゃったんです。いったいどうしたんでしょう」

伏線:結局神様の電話が何だったのかはわからない。

読者に伝えるべき情報:

メモ:おそらく神様の電話は伏線に使おうとして使わなかったものではないだろうか。もしくは読者に考えさせる素材のようなもので、小説に奥行きを与えるもの。

 

場面109:爆発

場所 列車の中
108の後 
登場人物 僕 
べージ(文庫) 219P

12時ちょうどに牧場から爆発音が聞こえる。

伏線:

読者に伝えるべき情報:秘書が爆発に巻き込まれて死んだだろうということ

 

場面110:

場所 いるかホテル
109の後 
登場人物 僕、羊博士 
べージ(文庫) 223P

羊博士と再開する。

僕はいろいろなものを失いました。

という僕に対して、羊博士は、

「君はまだ生き始めたばかりじゃないか」

と声をかける。

机にうつ伏せになって泣いていた羊博士に対して、

僕は彼の失われた時間を奪い去ってしまったのだ。

と思う。

伏線:すべてが終わったと言うことは、羊もこの世から消えたということ。

読者に伝えるべき情報:

メモ:なぜ秘書を殺す必要があったのだろうか・・・

場面111:

場所 いるかホテル
110の翌日
登場人物 僕、ホテルの支配人 
べージ(文庫) 224P

いるかホテルの支配人と話す。「父が食事を食べないんです。あのままじゃ死んでしまいます。」

と父親を心配する支配人に対して、

「きっと今に何もかもうまくいきますよ」と僕は言った。「時間さえ経てばね」

伏線:

読者に伝えるべき情報:

 

場面112:

場所 ジェイズバー
111の後 
登場人物 僕 
べージ(文庫) 227P

ジェイと再開する。

伏線:

読者に伝えるべき情報:

場面113:

場所 砂浜
112の後 
登場人物 僕 
べージ(文庫) 230P

ジェイズバーを出た後、埋め立てられた海外の最後に残った砂浜に腰を下ろし、泣く。

伏線:

読者に伝えるべき情報:僕はすべてをなくした。

 

まとめ

当たり前の話ですが、かなり長くなってしまいました笑

まあ想像していたことではありますが・・・

とりあえずこれで『羊をめぐる冒険』を物語論で解説するための、準備は半分終わりました。

「え!まだ半分なのかよ」

と突っ込まれそうですね。

ページごとのあらすじをまとめたので、今度は時系列に沿ってあらすじをまとめます。小説の中では、時系列が前後したり交錯したりしているので、一度時間の流れに沿って並べてみます。

必ずしも必要な作業ではないので、確認したい人だけ見てもらえればと思います。

 

スポンサーリンク

書いている人はこんな人

管理人
どうも、管理人です。

高校卒業まで東京で過ごし、大学から京都に来ました。京都や日本の魅力を伝えるブログにできれないいなと思っています。京都と就活記事とたまに政治経済を少々書いていきます。

LEAVE A REPLY

*
*
* (公開されません)

Return Top