今月(1月)下旬、桜の開花・満開予想が発表されました。
「なんで、冬に桜の開花予想なんてできるの・・・」
と思った方も多いのではないでしょうか。私もそのうちの一人で、春先の気温で開花予想はするんじゃないの・・・?
と思っていたので、2か月以上も前の予想にびっくりしています。予想の技術や科学技術の進歩はすごいなあと思っていました。しかし、よく見ると予想するサイトによって若干違うようです。
『暖冬の影響で2016年の開花は遅い』
と予想しているサイトが多いようですが、中には開花は早まると予想するサイトもあるようです。
やはり予想の仕方によって変わってくるのでしょうか。そこで今回は、桜の予想方法について調べてみました。まだ桜の開花の仕組みについても合わせて紹介したいと思います。
桜の開花の仕組みを知って、植物は偉いなあと改めて感心しました^^
今年の開花予想
今年は、暖冬の影響で開花が遅くなるそうです。
大手予想サイトの”ウェザーマップ”によると、最も早く開花するのは福岡で3月23日。東京と名古屋は26日で大阪は28日、鹿児島は30日と予想されています。
一方で、”日本気象株式会社”は例年より早く開花すると予想しています。
”日本気象株式会社”によると、最も早く開花するのは東京と名古屋で3月22日。福岡は23日、大阪は28日、鹿児島が30日と予想しています。
場所 | 日本気象 | ウェザーマップ |
東京 | 3/22 | 3/26 |
名古屋 | 3/22 | 3/26 |
福岡 | 3/23 | 3/23 |
大阪 | 3/28 | 3/28 |
鹿児島 | 3/30 | 3/30 |
見比べてみると、実際に開花日はそこまで変わりませんね。”ウェザーマップ”は例年より遅い開花を予想し、”日本気象株式会社”は早い開花を予想していますが、どちらも鹿児島の開花日は30日、大阪の開花日は28日、福岡の開花日は23日と予想しています。
ということは、今年の開花日は例年より少し遅いか少し早いかといったところでしょう。つまり例年並みということですね。
でも、なぜ”日本気象株式会社”と”ウェザーマップ”の予想が違うのか気になりますよね。実際の開花日の予想はそこまで変わらなくても、なぜ例年より”遅い”か”早い”かで意見が分かれるのでしょうか。
そこで予想方法を紹介したいと思いますが、その前に桜の開花の仕組みを説明します。
そもそも開花の仕組みって?
開花の仕組みを理解するためのキーワードは3つです。
- 休眠
- 生長
- 気温
一言で開花の仕組みを説明すると、、、、
低温にさらされると桜の花芽は休眠打破し、生長し開花に向かいます。
まず春になると満開を迎える桜ですが、花芽が出来るのは実は前年の秋ごろです。花芽が一度できると、休眠状態に入ります。なぜなら、秋に出来て秋に割いても冬を越すことができないからです。一度休眠することで、冬を越そうという戦略です。
そして冬になって低温(-5℃ ~ 15度)にさらされると休眠から覚めます。これを覚醒(休眠打破)と呼びます。動物の場合は、暖かくなると休眠から覚めますが、桜の場合は逆なんですね。
さて、休眠打破後、春先になって暖かくなると花芽が大きくなります。最初は花芽が徐々に膨らみ、次第に花芽の色が黄緑がかってきます。そして開花直前になると、花びらが垣間見えるようになります。
この一連の流れを生長と呼びます。ご覧のとおり、桜の開花は気温に左右されます。
どうやって開花予想するの?
さて、気温が桜の開花に影響することがわかりました。
それでは実際にはどのように桜の開花を予想しているのでしょうか。予想の仕方はいろいろあるようですが、今回は”日本気象”の予想方法をご紹介したいと思います。
”日本気象”が開花予想に使うデータは主に下の3つです。
- 秋から春先にかけての気温
- 桜の生長状態
- 予想地点の過去データ
まず秋から冬にかけての気温を調べることで、桜の休眠打破に関する情報がわかります。寒いほどより覚醒し、休眠打破に近づきます。
休眠打破の状態と過去のデータを比べることで、おおよその開花予想ができます。
おそらく1月20日に発表した開花予想は、休眠打破と過去のデータを比較して出したものだと思います。
今後、さらに予想の精度を高めるためには、桜の生長状態も考慮する必要があります。2月下旬から徐々に暖かくなると、花芽が生長します。
生長の状態とまた過去のデータを比べることで、さらに精度の高い予想ができるでしょう。
つまり、1月20日現在の予想は生長の状態を考慮できないので、確実とは言えません。より正確な予想を知りたい場合は、2月下旬から3月上旬まで待つ必要がありそうです。
続いて、ウェザーマップの予想方法についてですが、かなり複雑そうです。というか、予想方法を読んでも詳しい方法はわかりません。
桜(ソメイヨシノ)の開花・満開は、気温に大きく左右されます。
気温と開花日の関係については、青野ら(1990,2003)を参考とし、近年の傾向に合うよう、最新のデータで推計しなおし、調整しました。
気温と満開日の関係については、上記の開花日との関係をベースに、朝倉ら(2009)や永田洋ら(2010)を参考にして、推計しました。
予想気温については、週間予報・1か月予報アンサンブル・3か月予報を独自に解析し、統計処理を加えて地点ごとに算出。
これをベースに近年の傾向や自己相関などの気温の特性を考慮して、各地点10000通りの気温推移をシミュレーション。
これを、上記のさくら開花・満開日推定式を使って10000通りの開花・満開日に変換し、開花確率グラフを作成しています。
開花・満開予想日は、この10000通りの開花・満開日の平均としています。
・・・・とありますが、気温から開花日を予想しているということは、”日本気象株式会社”と同様に休眠と生長の期間を計算したということでしょう。
そして、各地の気温推移を10000通りもシミュレーションして、その結果の開花日を平均しています。
実際過去の予想を検証するページを確認してみると、予想が上手くいく年があれば行かない年もあるようです。
例えば2014年、東京の開花日はほぼぴったり当てています。6回の予想中、誤差は1日だけでした。
一方で2013年は10日以上もの誤差がありました。その要因としては、2013年の2月は記録的な温かさになった日があったからのようです。2月2日で気温が20度を超えました。
どうやら、気温の変化が予想の精度に大きな影響を与えるようです。
まとめ
いかがだったでしょうか。普段何気なく見ている開花予想ですが、その裏では予想する人の絶え間ない努力がありました。
桜は私たち日本人の大切な文化の一つですから、こうして予想の精度を上げようと頑張っている方がいるのは嬉しいですね。
ただ、そうはいっても桜も植物なので、そう簡単には予想させてくれなさそうです。
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